町医者でありたい

ニッポンの動物医療は町医者が支えてる

大仰なことを言うように聞こえるかもしれませんが、この日本で動物医療を支えているのは〝町医者〟なんですよね。それはもう厳然たる事実。獣医師の中にはもちろん専門医の方達もいらっしゃるわけですけど、彼らは僕らのような町医者がいて初めて生きてくる存在。だから、町医者って言うとちょっと内向きな言葉に聞こえるかもしれませんけど、僕としてはレベルが高いというか、獣医師の中では一番の位じゃないかとさえ思ってる。飼い主さんの苦労だったり、クレームだったりも含めて、そういうものを直接的に受け止めることができる場所、臨床の醍醐味を味わえるこの場所に、これからもずっとい続けたいなと思っています。

動物医療の現実 町医者のジレンマ

ただ、町医者のスタンスというのが、この国では未だ確立されていない。理想は人間の医療と同じように、町医者がいて、総合病院があって、大学病院があって、その一方で臨床をバリバリやる専門医がいて…という形。そういう棲み分けができていたら、このケースはこちらにお願いしますとかできるんですけど、残念ながらできてない。本来なら大学病院に委ねるべきケースであっても、実際問題、臨床がスムーズに動いてないので、僕たち町医者が踏み込んでやっていくしかないんです。手術を申し込んだら「2カ月先です」って言われて、かと言ってその手術は僕達の領域じゃないからって避けてたら、その子達死んじゃいます。 だから本当はここからここまでを全うしたいという気持ちがあっても、要求によってはそれを越えて踏み込んでやらなきゃいけないことがあるんですね。それは僕達にとってすごいストレス。本当は棲み分けがきちんとできてこそ、それぞれの立場で仕事を全うできると思う。だからその棲み分けを一日も早く実現して、町医者が本来の仕事を全うできるよう、専門医がいるASC(Animal Specialist Center)という二次診療病院をサポートして、少しでもこの状況を変えていこうという取り組みをしているんです。